マイクロソフトが向かっている未来とは?

1.なぜOSは変化していくのか?

OSなんて興味ないと思っている人もいるでしょうが、パソコンのOSを作っているメーカーにとっては、時代の変化に合わせて次世代のOSをどのようにすべきかを常に自問自答しながら進んでいると思います。

マイクロソフトの場合は、1980年代のMS-DOSから始まり、1990年代にWindowsに進化させて、ここ20年余りは世界のPCの標準OSとして評価されてきた歴史があります。

パソコンを使っていると、3年毎に新しいOSに変化していることに、何の意味があるのかと思ってしまいますが、以前のOSを継承しながら、新しいOSを生み出していくことは、想像を超えるほどの大変さがあると思います。

もちろん、マイクロソフトは、ソフトメーカーですから新しいOSを生み出していかないと利益が得られないということもありますが、おそらくインターネットの進化や、スマホやタブレットの進化や、使っている人々からの要望や、迫ってくるセキュリティの脅威や、ハードウェアの進歩や、対抗するOSメーカーの台頭など、その他もろもろの理由から、新しいOSの開発を絶えず行う運命にあるのだと思います。

 

2.OSのアップグレード方法が根本的に変わった

ここ1年、マイクロソフトは、Windows 7や8.1のOSからWindows 10への無料アップグレードという壮大な実験を行う中で、従来からのWindows OSのあり方を根本から進化させてきていると思います。

つまり、パソコンのハードウェアを変えることなく、インターネット上から次期OSをダウンロードさせて、それをインストールするということをマイクロソフトとして初めて実現させたからです。

昔は、OSの発売は世界的な儀式であって、前日の夜に秋葉原の店頭に行列を作るというような光景がありましたが、現在ではそのような光景を見ることはなくなっています。

もちろん、アップルはかなり前から、OSのアップグレードをインターネット経由で行っていますが、それはアップル独自のパソコンに対してだけであって、Windowsのような多種多様なパソコンを相手にして、アップグレードすることは、かなり難しく、技術的な困難さがあったと思うのです。

この経験から、Windows 10以降のWondows OSは、今回と同じようにネットからダウンロード&インストールという流れになることは確実です。さらに、この手法をとることで、Windows OSの違法コピーなどにも十分に対処できるようになっています。

 

3.マイクロソフトアカウントの出現

一方で、マイクロソフトは、マイクロソフトアカウントをパソコンごとに紐付けて、同じアカウントを持つパソコンどうしの環境を同期できるようにしました。Windows 7までのパソコンではローカルアカウントが主流でしたが、Windows 8.1になって、マイクロソフトアカウントが出現して、OSのアップグレードを含めたマイクロソフトのサービスの全体に対して、マイクロソフトアカウントが必須要件となってきました。

そして、Windows 10では、従来のソフトウェアとWindowsアプリの間の垣根がなくなってきて、マイクロソフトアカウントなしでは、パソコンを十分に使用することができないような状況になりつつあります。

さらに、Office環境についても、現在ではメディア(CDやDVD)での販売がなくなり、すべてネット上からのインストールという形態をとるようになり、そこでもマイクロソフトアカウントとの紐付けが必要になっています。

このような状況は、パソコン自体が、ハードウェア中心の世界から、アカウント中心の世界になってきたことを意味しています。このことは、アカウントとして設定するメールアドレスとパスワードの重要性がかなり高まってきたという意味でもあります。

 

4.アップルからの影響

マイクロソフトは、良くも悪くもアップルからの影響を強く受けていると思われます。アップルのスティーブジョブズは、アップルが開発した新しい機能をマイクロソフトがすぐに真似して取り入れていることに腹を立てていましたが、マイクロソフト自体は、もともと多くの会社を買収することで、新しい技術をWindowsに取り入れるというビジネスの考え方をしています。

アップルは、早くからApple IDによるユーザー管理を行っています。これはiPodという音楽プレーヤーを発売しているころからです。インターネット上にある楽曲を購入するため、クレジットカード情報とアップルIDを結び付けて、購入した楽曲の管理をするというシステムを開発したわけです。

このiPodが出てきたのが、2001年ですが、ネット上の楽曲を購入できるようになったのは、iPod nanoが発売された2005年ごろからです。アップルはこのように早い時期から、アカウント管理という概念を生み出して、その後に発売されるiPhoneやiPadに対しても、このような技術を継承しています。

このアカウントという考え方は、単なるログインIDとパスワードという考え方とは異なり、インターネット上で共通して使える世界に1つしかないIDという考え方で、ハードウェアを越えて、様々なサービスと連携できるというものになっています。

マイクロソフトも、Windows8の発売に併せて、OSとネットを結び付けるためにマイクロソフトアカウントと連携した様々なネット上のサービスを生み出してきています。

 

5.Officeの価値を多次元化している

Officeといえば、Word、Excel、Powerpointと連想するソフトですが、実はここにきてマイクロソフトはOfficeの価値をより高めるという方向で動いています。

それは、Officeを3層構造として、多次元化している状態です。(下図)

Officeの構造

従来のOfficeであるPC用Officeに加えて、「Office Online」と呼ばれるブラウザ上で操作することができるOfficeがあります。また、タブレットやスマホで使えるOfficeアプリもあります。

これらのOfficeのグループは、マイクロソフトアカウントでつながれており、作成したドキュメントは、OneDriveを通して同期され、閲覧や編集ができるようになっています。

さらに、最近ではDocs.comという公開と共有用の領域を設け、ホームページなどとの連携も視野に入れています。

PC用Officeとタブレット・スマホ用Officeはインストールして使うタイプのものですが、ネット上のOffice Onlineは、マイクロソフトアカウントを持っていれば自由に使うことができるという便利なものになってります。

さらに、ネット上のOfficeでは、複数のメンバーで同時に作業できる機能も備えており、スカイプなどと連携することで、ネット会議などで利用できる可能性もあります。

このようなOfficeのしくみは、Office365というマイクロソフトアカウントで管理されるOfficeと連携しており、Office365の年間契約を持つユーザーに対しては、さまざまな有利なサービスを利用できるしくみが作られています。

マイクロソフトは、OSのソフトメーカーですが、それよりもMicrosoft Officeのソフトメーカーとして知られています。近年は、このMicrosoft Officeに似たOfficeソフトが安価で提供されていることもあり、マイクロソフトの独自性を保つ意味でも、このようなネットで連携したサービスを売りにしてOfficeのライセンスを広めようと考えているのだと思います。

 

6.サブスクリプション型Officeへの移行

Officeソフトは、1度購入すれば何年でも使用できる「永続ライセンス型」のOfficeと、Office365シリーズのように、1年ごと、1ヶ月ごとにライセンスを契約する「サブスクリプション型」のOfficeの2種類があります。

まだ、永続ライセンス型のOfficeを使っている個人や会社が多いと思いますが、最終的にはサブスクリプション型のOfficeに移行してくるのではないかと思われます。

サブスクリプション側Officeは、年ごともしくは月ごとの支払いが出来るので、集中してWordやExcelやPowerpointを勉強したいという人には、低コストで始められる利点があります。

さらに、契約中に新しいバージョンのOfficeが発売された場合でも、無料で新しいバージョンをインストールができるので、新しいバージョンに移行するためのコストがかかりません。

つまり、パソコンを購入した時に、最初からインストールされているOfficeは、永続ライセンス型であるので、新しいバージョンにアップグレードするためには、新しいバージョンを購入する必要がありますが、サブスクリプション型Officeの場合は、常に新しいバージョンを手に入れることができるという利点があります。

 

7.「Office365サービス」とは何か?

1年ほど前から、パソコン量販店で売られている日本のメーカーのパソコンには、Office2013やOffice2016がプレインストールされていますが、同時に「Office365サービス」が付属しています。

この「Office365サービス」というよくわからないネーミングで混乱している人も多いと思いますが、これは、永続ライセンスのOfficeをパソコンといっしょに購入した人向けの特別なサービスという意味です。

具体的には1年間のみのOffice365サービスが付属しているというもので、必要があれば、1年経過したのちもサービスを継続するために、1年間ごとにライセンスを更新する必要があります。この継続ライセンスの料金は6000円程度ですが、永久ライセンスを持っているのに、毎年お金をし払うという人はほとんどいないと思います。

でも、3年ごとにバージョンアップを繰り返しているMicrosoft Officeのことを考えると、6000円×3年=18000円程度(初回は12000円)で、次のバージョンのOfficeが無料で手に入るとしたらどうでしょう。

というように、長い目でのコストを計算すると、Office365サービスもお得な部分があります。

 

8.マイクロソフトが目指している未来のパソコンの形とは?

Windows10の次のOSがどのような形に変化していくのか?ということですが、それは誰にもわかりません。

しかし、現時点での流れを見ると、キーワードは、「AI(人工知能)」「ネット連携の強化」「Windowsアプリの強化」ということになるのではないでしょうか。

そして、あくまでもマイクロソフトはソフトメーカーでありつづけると思います。

アップルやグーグルの真似をしてSurfaceなどのタブレットライクなパソコンを作ってはいますが、ハードウェアはそれほど得意ではないので、Officeを中心としたソフトウェアをより進化させていくことに注力してゆくのではないかと思います。

そして何よりも、ハードウェアの進化に対応するOSや、ITでの利用に特化したOSなど、利用形態に応じた多種類のOSが今後出てくるのかもしれません。

そして、アンチマイクロソフトの人たちがいることで、逆にマイクロソフトは、正しい方向にOSを進化させているのかもしれません。

最後に個人的な意見を言わせていただくと、Windows OSも、MacOSも、Linux OSも、すべてパソコンにインストールして使用していますが、できればOS自体もネット上にあって、アップデート処理などがいらないような形にしてほしいと思っています。(あくまでも希望ですが・・・)