9か月かけて赤毛のアン11巻を読み終わりました

赤毛のアン

昨年話題となった「花子とアン」を見て、原作の「赤毛のアン」を読みたいと思い立ち、読み始めてほぼ9カ月が経ちました。

昨日、やっと最終巻である11巻(下)を読み終わり、感慨無量といった気持です。

なぜ、9か月間もかかったのかというと、電車に乗っている時しか読んでいないからです。

とぎれとぎれに読むものだから、話の内容を忘れて、少し戻っては読み返すというように、遅遅として進まない読書でしたが、「赤毛のアン」のすばらしい文章と物語は、最後まで飽きることのない魅力に溢れており、集中して読むことができました。

NHKの朝ドラの「花子とアン」の中では、カナダ人の先生から託された「赤毛のアン」を村岡花子さんが必死に訳している姿が描かれていましたが、「赤毛のアン」の物語の内容は一切語られていませんでした。

村岡花子さんは1893年(明治26年)に山梨県の甲府市で生まれ、東京の東洋英和女学校で英語を学び、その後、少年少女のために向けた外国の文学の翻訳を行うこととなります。

戦時中に赤毛のアンを訳し終えますが、戦時中ということで日の目を見ず、1952年になって初めて「赤毛のアン」として世に出版されました。

原作は、カナダの作家のモンゴメリーで、タイトルは「Anne of Green Gables」(緑の切妻屋根のアン)というわかりにくいタイトルでしたが、日本では出版社の意見もあって「赤毛のアン」というわかりやすいタイトルになりました。

モンゴメリーの作品をその後も訳し、赤毛のアンシリーズをほぼ訳し終えた後も、多くの児童文学を日本語に訳し、1968年、その生涯を終えました。

村岡花子さんは、1926年、幼い長男を病気で亡くしましたが、その後、妹の子供(村岡みどりさん)を養女として育て、その子(孫)にあたる村岡美枝さん、村岡恵理さんが生まれました。

東京都大田区にある「赤毛のアン記念館・村岡花子文庫」は、1991年、村岡みどりさんにより設立され、現在は、村岡美枝さん、村岡恵理さんによって管理されています。

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「赤毛のアン」というタイトルは知っていても、その本を読んだことがある人は、以外と少ないのではないでしょうか?

また、1巻~3巻までのアンの少女時代だけの物語はよく知られているのですが、アンが結婚してからの物語や、アンの子供の物語や、アンのまわりの人たちの物語については、読んだことがない人が多いと思います。

作者のモンゴメリー(ルーシー・モード・モンゴメリ)は、1874年、カナダの東部にあるプリンスエドワード島で生まれました。モンゴメリーは幼児の頃、母を失い、父も遠くにいってしまったため、母方の祖父母に預けられて育ちました。15歳のころ父といっしょに住むようになったのですが、継母から子守りと家事手伝いを命じられて苦しい日々を送ります。

18歳で中等教育を終えたモンゴメリーは、大学に進学し、教員の資格を取得します。島に帰ってしばらくは教員の仕事をするのですが、1898年に祖父が死に、その祖父のやっていた郵便局の仕事を引き継ぐことになります。残された祖母の世話をしながら、短編作家としての経験を積み、1908年、長編小説である「赤毛のアン」を出版して、世界的に有名となります。

その後、36歳で長老派教会牧師ユーアン・マクドナルドと結婚し、その後アンの続編を書きます。しかし、晩年は、うつ病になったといわれており、1942年にトロントで亡くなっています。

このモンゴメリーの人生は、「赤毛のアン」に出てくるアンの物語と非常に似ており、本を読む中で当時の時代背景や、教会の問題、結婚や家の問題、戦争の問題などにモンゴメリ自身が葛藤を覚えながら書いていることが感じられてきます。

逆に言えば、1900年代初頭のゆったりした時代から、第1次世界大戦から第2次世界大戦のような殺伐とした時代に至るまでの変化の歴史と、モンゴメリ自身の経験が、「赤毛のアン」という小説を作っているともいえます。

そういう意味で、「赤毛のアン」を読むことで、その時代をじかに感じることができ、それこそが魅力になっているのではないかと思います。

「赤毛のアン」の最終巻である11巻は、第2次世界大戦中に出版されたこともあり、戦争への批判的な部分が原作から削除されて出版されていたことが、後世になってわかりました。

そのため、最後の11巻(アンの思い出の日々)は、2009年になって出版され、日本語版は、村岡美枝さんの翻訳で2012年に発売されています。

最後に赤毛のアンの全巻を紹介しておきます。

  1. 赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)
  2. アンの青春―赤毛のアン・シリーズ〈2〉 (新潮文庫)
  3.  アンの愛情―赤毛のアン・シリーズ〈3〉 (新潮文庫)
  4.  アンの友達―赤毛のアン・シリーズ〈4〉 (新潮文庫)
  5.  アンの幸福―赤毛のアン・シリーズ〈5〉 (新潮文庫)
  6.  アンの夢の家―赤毛のアン・シリーズ〈6〉 (新潮文庫)
  7.  炉辺荘(イングルサイド)のアン―赤毛のアン・シリーズ〈7〉 (新潮文庫)
  8.  アンをめぐる人々―赤毛のアン・シリーズ〈8〉 (新潮文庫)
  9.  虹の谷のアン―赤毛のアン・シリーズ〈9〉 (新潮文庫 モ 4-49)
  10.  アンの娘リラ―赤毛のアン・シリーズ〈10〉 (新潮文庫 モ-4-50)
  11.  アンの想い出の日々〈上〉―赤毛のアン・シリーズ〈11〉 (新潮文庫)
  12.  アンの想い出の日々〈下〉―赤毛のアン・シリーズ〈11〉 (新潮文庫)

興味がある方は、是非読んでみてください。

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